ダイヤモンドの老舗カッターズブランド「モニッケンダム」を知ろう
ジュエリーのデザインや組み立てのみならず、ダイヤモンドをカット・研磨・仕上げする職人「カッター」を自社で有し、ダイヤモンドのカット・研磨・形成までを手掛けるジュエラーを、敬意を込めて特別にカッターズブランドと呼びます。
カッターズブランド自体、数は多くありません。なぜならダイヤモンドの一連のカッティングには高度な技術力と熟達した職人らの手が必要となるためです。
しかしながらそんな中で、世界三大カッターズブランドと呼ばれる名門中の名門が存在します。その一つがモニッケンダムです。
この記事では、モニッケンダムについて解説いたします。
1.モニッケンダムとは?
ダイヤモンドの4Cの中でも、唯一人の手によって評価される「カット」。
石本来の美しさ・輝きを引き出せるかどうかは、このカットにかかっていると言って過言ではありません。どれだけハイグレードな石であっても、カットが甘いと台無し。一方で58面体のラウンドブリリアントカット等を始め、ジュエリーサイズの小さいダイヤモンドに細かなファセットを形成していく作業は、決して容易ではありません。
そのためカッティングは熟達した職人技に依るところが大きく、多くのブランドが別会社でカット・研磨・仕上げした個体を購入のうえ、自社でジュエリーに仕立て上げていきます。
しかしながら冒頭でも述べた通り、カッターを自社で抱えることで、自社のこだわりのダイヤモンドによるジュエリーを実現しているブランドが存在します。それがカッターズブランドであり、ロイヤルアッシャー、ラザール・キャプランと並んで世界三大カッターズブランドに名を連ねるのがモニッケンダムなのです。
ではモニッケンダムがどのようなブランドなのかと言うと、ルイ・モニッケンダム氏によって創業されます。
19世紀は南アフリカを発端にダイヤモンドラッシュに沸いていた時代です。ダイヤモンドを使ったジュエリーへのニーズも高まり、ティファニーやカルティエ、ブルガリなどといった現在にも続く名門ジュエラーが産声をあげた時代でもありました。
ルイ・モニッケンダム氏自身もダイヤモンドカッターとして、当時の「トップダイヤモンド・シティ」として名高いオランダ アムステルダムで活躍しており、マスターカッターの呼び声高かったと言われています。
1890年にダイヤモンドのカッティング会社モニッケンダムを創業。第一次世界大戦の混乱でイギリスへと移住し、以降、同国でその地位を確立していくこととなります。イギリスの産業革命を発端とした好景気も追い風となり、モニッケンダムは世界の市場へと名声を広げていきました。なお、ダイヤモンドのカッティングを「原石に命を与える」と表現した二代目アルバート・モニッケンダム氏の時代にあたる1920年、A.MONNICKENDAM. LTDに社名が変更されました。この表現は、現在もモニッケンダムの理念として息づいています。
その後も質の良い原石の選定やカッティング技術の向上はもちろん、生産体制を整えることでダイヤモンド産業へも大きな影響を及ぼしていきます。原石への鑑識眼も随一であったモニッケンダムは、1929年にデビアスを介して世界中のジュエラーにモニッケンダムのダイヤモンドを供給する体制が整えられました。この体制は現在でも続いており、モニッケンダムはジュエラーでもありながら、上質なダイヤモンドのサプライヤーとしても名を馳せています。
1938年には、かの有名な4Cの礎を築きます。
4Cとは、ダイヤモンドのグレーディングのこと。このグレーディングによってダイヤモンドの質が標準化されているからこそ、世界各国で適正な価値をダイヤモンドは持っていると言えます。
モニッケンダムはダイヤモンドのカラー・クラリティをグレーディングするための明確な基準を提唱しました。
1954年には「サークルオブラスター」というカット技術を開発します。
光沢の輪、という名称が意味するように、ダイヤモンドを上からみるとまるで美しい輪が輝いているように見えるこのカッティング。これまで研磨されてこなかったガードル(クラウンとパビリオンの境目部分)を磨き上げるという技術です。これによって上から見た際の光の輪の味わいはもちろん、どの角度から見てもいっそう美しい意匠をダイヤモンドに添えることとなりました。なお、現在多くの企業がこのサークルオブラスターを取り入れています。
その後も真摯にダイヤモンドの美しさを引き出すため、際立たすためのカット技術を追求していき、自社製品を世に送り出すのみならず、ダイヤモンドの知識やビジネスの在り方、品質管理を普及・促進するなど、ダイヤモンド産業にとっても意義深い取り組みを行ってきました。モニッケンダムによってダイヤモンドの歴史は紡がれ続けてきたと言えます。
ちなみにモニッケンダムのカット技術がどれほど凄まじいかを示す、さまざまな記録が存在します。
1965年、1/607カラット (0.00164ct)という極小サイズのダイヤモンドに58面体のフルカットを施したこと。近年では量産品ではないものの、125面体ものカットを施したことなどがその代表例です。
もっともモニッケンダムの技術力は、その世にも美しい自社製品を見れば、明白ですね。
モニッケンダムは現在ではイギリス ロンドンのエリー・プレイスに本社を構えており、四代目のギャリー・モニッケンダム氏が経営を引き継いでいます。
日本でも全国でショップ展開を行っており、ブライダルを中心に高い人気を博しています。
2.モニッケンダムの製品特徴と価格帯
モニッケンダムの特徴であり大きな魅力は、なんといってもハイグレードのダイヤモンド遣いでしょう。
これまでカット技術を中心にモニッケンダムというブランドについてご紹介してきましたが、ハイグレードのダイヤモンドは厳格な原石の選定が欠かせません。
モニッケンダムは上質な原石を独自の鑑識眼で選定し、さらに二代目アルバート・モニッケンダム氏の「「原石に命を与える」、三代目アーサー・モニッケンダム氏の「原石からマキシマムラスターを取り出す」、そして四代目ギャリー・モニッケンダム氏の「原石のもつすべての良さをとり出す」などを理念に、最高グレードのカット・研磨・仕上げを施したダイヤモンドをジュエリーとしてラインナップしています。
そのためモニッケンダムのダイヤモンドの美しさは、卓越していると言わざるをえません。とりわけブリリアンシーには定評があり、モニッケンダムでも自社製品のまばゆい輝きを「ラグジュアリーホワイト」と評するほどです。
大ぶりのダイヤからメレダイヤに至るまで丁寧にカットされ、作り込まれたジュエリーは、唯一無二と言って良いでしょう。
そんなモニッケンダムのコレクションはブライダルが中心と思われがちですが、ジュエリーコレクションも手掛けます。「イングリッシュローズ」や「チューダーローズ」などといったイギリスのオーセンティックな雰囲気を感じられるデザインからフォーリーフやスネークをモチーフにしたユニークなもの、カラーストーンをあしらったものなどまで製品展開は大変豊富です。
価格帯は確かにハイエンドとはなります。しかしながらハイグレードなダイヤモンドを使っているにもかかわらずダイヤモンドが大粒でないブライダルなら10万円台〜、ジュエリーは製品にもよりますが10・20万円台〜と、かなり良心的です。
憧れの的でありながらも、頑張れば手の届くラグジュアリー・ブランドである点も、モニッケンダムの大きな強みとなっております
3.モニッケンダムの買取情報
モニッケンダムを売却しようと思った時、買取店選びは重要です。
ダイヤモンドは基本的に「4C」という明確な価値基準があります。そのためきちんとした買取店であれば、この4Cに則った買取査定が行われることとなります。モニッケンダムのようにハイグレードなダイヤモンドを使用しているジュエリーであれば、素材の価値だけでそれなりの査定金額となるケースも少なくありません。
しかしながら忘れてはいけないのが、モニッケンダムのブランドとしての価値。
モニッケンダムは世界三大カッターズブランドとして、由緒正しい歴史を紡いできました。そのためブランドとしての市場評価はきわめて高く、そこを理解していない買取店に売却すると、買いたたかれてしまう可能性があります。
モニッケンダムのジュエリーを売却する際は、ブランドジュエリーの買取実績が豊富にあり、かつブランド価値をきちんと理解する店舗を選択することを強くお勧め致します。
なお、当店グリーバーはこれまでモニッケンダムを多数取り扱ってきました。
再販ルートも自社でしっかりと確立しているため、よりCtoC価格に近い査定金額をご提示させて頂くことができると自負しております。過去にはモニッケンダムのジュエリーを多数お買取りさせて頂いております。コンディションが良ければモニッケンダムは10万円台オーバーの査定となることが少なくなく、ダイヤモンドの量が多いデザインや大きな一粒ダイヤモンドのデザインなどは50万以上となる事も珍しくありません。
ぜひ一度査定だけでも当店にお任せ頂ければと存じます。
4.まとめ
モニッケンダムについてご紹介いたしました。
モニッケンダムとは世界三大カッターズブランドに名を連ねており、アムステルダムで活躍したダイヤモンドカッター「ルイ・モニッケンダム氏」によって創業されたこと。その後イギリスに本拠を構えており、現在でもこの地で活躍していることから、「チューダーローズ」などといったイギリス由来のコレクションを有していること。厳選された原石とカット技術によって、類まれな輝きを持つダイヤモンドを他社にも供給していることなどをお伝えできたでしょうか。
美しきダイヤモンドの世界を存分に楽しめるのが、モニッケンダムという選択ではないでしょうか。