エルメスのこだわりがすごい!バーキンやケリーを生んだ職人魂
フランス屈指の高級ブランド・エルメス。最高峰の品質と絶大なステータスで、世界中のセレブリティたちを虜にしてきました。高額でありながらも、その価値に見合うだけの人気を幅広い層から集めており、「バーキン」「ケリー」はなかなか手に入りにくいことで有名です。
そんなエルメスは、もちろん買取市場でも圧倒的な強さを誇ります。多くの業者にとって、エルメスはなんとしてでも欲しい逸品と言っていいでしょう。
これだけ人々を魅了するエルメスとは、いったいどのようなブランドなのでしょうか。
この記事では、エルメスの歴史やこだわり、歴代のデザイナーなどを解説するとともに、買取価格から見る人気ラインをご紹介いたします。
1. エルメスとは
ABOUT
設立年:1837年
創業者:ティエリー・エルメス
本社所在地:フランス・パリ
現CEO:アクセル・ドゥーマス
事業:バッグや財布、ポーチなどの皮革製品、スカーフ、アパレル、腕時計など
① エルメスの沿革
エルメスは、1837年、ティエリー・エルメスによって開業されました。
フランス・パリの中心マドレーヌ寺院の近くで営まれた、高級馬具工房がその始まりとなります。フランス発ブランドの中でもかなりの老舗。ちなみにカルティエは1847年創業、ルイヴィトンは1854年、シャネルは1910年です。
乗馬や馬車での移動が盛んであったヨーロッパにおいて、上質な革をもとに製造された最高峰の鞍はたちまち広まり、ナポレオン3世やロシア皇帝などといった各国の王族たちより愛されるようになりました。
しかしながら時代は産業の近代化が目覚ましく、自動車や鉄道が急速に発達。次第に馬を用いた輸送手段は廃れていきました。
そこで1871年にエルメス三代目に就任したエミール・モーリス・エルメスは馬具製品だけの販売に限界を感じ、多角経営に乗り出します。とは言え全く違う分野で勝負するのではなく、同じく上質な革を用いた鞄や財布など皮革製品をラインナップ。この試みは成功し、現在のエルメスの礎が築かれた大きなきっかけとなりました。
同時代、卸業だけでなく一般市場への顧客に直接販売を開始し、一気に知名度を向上させたことも成功の要因でしょう。
1892年には、馬の鞍を入れるバッグであるオータクロアを製作。これは、現在の人気ライン「バーキン」の原型となりました。
1920年にはハンドバッグ部門をブランド内に新設。このハンドバッグ部門がこれまで培ってきたノウハウをもとに、1950年「ボリード」がラインナップされます。これは、世界で初めてバッグにファスナーを用いるという非常に画期的な手法で、実用面はもちろんデザイン面でも高い評価がなされました。ちなみにココ・シャネルはこのボリードにインスパイアされ、ファスナーを使ったスカートを編み出したと言われています。
1927年には腕時計事業にも参入します。スイスの有名時計メーカーであるジャガールクルトと提携し、同社のムーブメントを搭載したデザインウォッチを製作。ジャガールクルトの高度な時計製造技術とエルメスのデザイン性が融合した、見事な作品を世に送り出しました。ちなみにエルメスは現在ではスイスのビエンヌにラ・モントル・エルメスという時計工房を設立し、デザインだけではない、本格的な時計製造を行っています。
エルメスの歴史を語る上では、1937年に始まったスカーフ販売も欠かすことはできません。
スカーフ「カレ」は、バッグと並ぶエルメスのメイン商品と言っていいでしょう。「カレ」とはフランス語で正方形を意味します。上質なシルクが用いられ、鮮烈なカラー、多種多様なデザインがその特徴となっています。
当時は、デザインに木版技法を使うのが一般的であるなか、エルメスはシルクスクリーン技法を使うことで、より精密なデザインを可能にし、個性豊かなカレはヨーロッパ女性たちに華やぎをもたらしました。
以降、アパレルやジュエリー、フレグランスなどでも頭角を現していきます。
これだけ事業を多角化しても品質を落とさず、クラフトマンシップを最優先させていたことがエルメスのすごいところ。実際、エルメスお抱えの職人たちの技術力は他の追随を許しません。その姿勢は世界中で評価され、ヨーロッパのみならずアジア、中東、アメリカへと販路を広げていくのに時間はかかりませんでした。
ちなみに日本に初出店されたのは1978年です。東京の丸の内でした。その後1983年に日本法人エルメスジャポンが西武百貨店と合弁のもとに創業。現在では北は北海道、南は九州までを制覇しており、2001年には旗艦店となるメゾンエルメスが東京 銀座に出店しました。
ちなみに日本との関係がとても深く、エルメス初となる社史を日本の漫画家竹宮惠子氏に依頼したり、エルメスCEOと交友関係にあったTHE ALFEEの高見沢俊彦さんからの依頼で、同社がディスクジャケットのイラストデザインを手掛けたりした、というエピソードがあります。また、日本文化ジャポニズムから着想を得たシリーズも何度か発表されており、日本人としては嬉しく思う一幕です。
② エルメスのロゴの意味
エルメスのロゴは同社のアイデンティティです。このロゴとオレンジのパッケージがエルメスの象徴でしょう。
フランスの画家アルフレッド・ドゥ・ドル―によって制作され、1945年に商標登録がなされました。四輪馬車のデュックと、従者のタイガーからなるこのロゴは、エルメス創業当時、富裕層の間で流行っていた馬車のスタイルを再現したものとなります。
馬、馬車本体、従者からなるこのロゴに、オーナーは描かれていません。
これの意味するところは、「馬車のオーナーはこの製品のオーナー」、つまり購入者ということです。オーナーが描かれないことには「エルメスはデュックとタイガー(製品)だけを提供する」「これを制すのはオーナー次第」というエルメスのメッセージが含まれているのです。
また、オレンジのパッケージにも意味があります。
もともとエルメスで使っていた包装紙はベージュでした。しかし、第二次世界大戦下、物資不足で余っている紙がオンレジ色のみだったこと。それを使ったパッケージが顧客から思いのほか好評だったことから、定番になりました。
エルメスの長い歴史を象徴する一幕ですね。
③ エルメスのこだわり
エルメスのこだわりは製品に一球入魂されています。と言うのも、エルメス最大にして最高のこだわりは「良いモノを作る」というクラフトマンシップにあるためです。
エルメスは創業以来、開発・生産・販売を自社で一貫して管理している生粋の職人集団であることをご存知でしょうか。ヨーロッパの製造業は分業制が主流で、部品は部品メーカーに依頼し、デザインや組み立てだけを担う、というブランドも少なくありませんでした。
現在では生産スタイルが見直されつつあり、自社一貫生産が多数見られますが、創業当初からそれを実行していたエルメスはいかに稀有な職人集団であったかがおわかりいただけるでしょう。
エルメスでは、皮の選定から製造までを一人で一貫して行う熟練した職人たちの手により、至高の製品が作られ続けてきました。
ちなみに多くのエルメス製品には、型押しでコードが刻印されていることをご存知でしょうか。
1909年以降から採用されているこのコードからは、製造年と製作した職人がわかるようになっています。
ベルトの裏や内装、ベロの部分などにあしらわれており、エルメスの正規店にメンテナンスを依頼すると、このロゴから手掛けた職人によって修理が任せられる、と言われています。
加えて皮の選定に対してもこだわりぬいています。
エルメスは馬具職人に端を発するブランドだけあり、ブランドの根幹にはいつも上質な馬具製品があります。そのため良い革には、見た目だけでなく優れた質感や柔軟性、耐久性が存在することを熟知していて、その鑑識眼は他の追随を許しません。
仕入れるのは高名なタンナーからだけであり、革の部位にもこだわります。牛皮であれば背中にあたるバットのみを使用するなど、どこまでも徹底しています。
エルメスほどのブランドとなるとコピー品が出回りますが、見る人が見れば本物は全く違う、と言われます。革、縫製、フォルム。どれをとってもエルメス製品は一流であるためです。
また、エルメスの製品は長年使うと経年によって革が良い風合いを帯び、より品格のあるものになります。加えて耐久性が高く、メンテナンスさえ行えば末永く使い続けていける安心感にも繋がります。
これは、中古市場でも価値が落ちづらいことを意味します。中古であっても、問題なく使えるコンディションの製品が多いのです。
こういった製品へのこだわりがエルメスのこだわりそのものです。
これは、後述するエルメスのブランド戦略を知ると、より実感できるでしょう。
④ エルメスのブランド規模感・現在の活躍
エルメスは現在世界各国に直営店を出店しています。知名度も非常に高く、ブランド規模は世界トップクラスでしょう。
これは、株式合資会社エルメス・インターナショナルとしてM&Aを行ったことが大きく影響しています。
1980年代から、ファッション業界はM&Aによって巨大なコングロマリットを形成する時代に突入しました。業界最大はルイヴィトンとシャンパンメーカーのモエ・ヘネシーが共同したLVMH、また、カルティエやダンヒル、クロエなどを傘下に加えるリシュモン、グッチ率いるケリングなどといったように、企業グループが市場を席捲していきました。もちろん独立を貫くブランドもありますが、小規模メーカーの多くはいずれかのグループに属すこととなります。
エルメスもまた、M&Aを利用して様々な分野のブランドを買収してきました。しかしながら前述のグループとブランド戦略が大きく異なります。と言うのも、エルメスはシェア拡大が第一目標ではなく、まず職人技術やノウハウを維持することを目的としているのです。
エルメスほどのブランド規模でこの戦略は稀有と言う他ありません。普通、これだけ大きくなってしまうと効率的な生産ラインを確立して大量生産するため、オートメーション化に頼らざるを得ないためです。
しかしながらエルメスは、こういった生産スタイルに流されていません。
そんな職人魂が評価されており、世界各国で固定ファンを増やし続けているのでしょう。
そして、エルメスは時代の流れに沿ったマーケティングを行うことで、進化を続けています。
例えば現CEOのアクセル・ドゥーマス氏はエルメスの最近の指標としてオムニチャネル化(リアル店舗とECサイトの管理を統一すること)を挙げています。エルメスのECサイトの売り上げは公表されていませんが同社内で非常に高いもので、今後ますますオフラインとオンラインの差を埋める、と語りました。ECサイトを強化することはリアル店舗に足を運ばない・運べない層をもファンにすることに繋がります。
また、最近ではアメリカのニューヨークに若年層をターゲットにしたカジュアルな店舗をオープンしたり、化粧品をスタートさせたりと、エルメスのこれまでの歴史を考えるとかなりドラスティックな変革が行われています。
ますます目が離せない。そんなブランドがエルメスです。
2. エルメスの歴代デザイナー
エルメスの創業者一族はただの経営者ではなく、職人でありデザイナーです。
長い歴史の中で、正統派でエレガントに、それでいて洗練されて消費者に飽きられない製品を生み出し続けてきました。バーキンにしろ、ケリーにしろ、この一族の感性がなければ作られなかった傑作です。ちなみにバーキンは当時CEOだった故ジャン・ルイ・デュマ氏が、たまたま飛行機で隣同士になった女優のジェーン・バーキンさんのために「ポケット付きのバッグ」という要請を受けて作ったものです。そしてケリーは、もとは先ほど紹介したオータクロアを小ぶりにしたサック・ア・クロアというバッグだったのですが、モナコ王妃であり女優のグレース・ケリーさんに愛されたことにちなんで「ケリー」と名づけられました。グレース・ケリーさんと言えば絶世の美女で、極上のものしか身の回りに置きません。そんな希代のオシャレ好きに愛されていることからも、エルメスの歴史的に高いデザイン性が垣間見えますね。これはただの経営者ではなく、エルメスというブランドをよく理解したデザイナーでなくては成しえません。
もちろんバッグ以外の分野でもデザイナーの功績は計り知れません。
最も有名なデザイナーはレディースアパレルのクリエイティブデザイナーを1997年~2003年までつとめたマルタン・マルジェラ氏でしょう。彼女の時代のエルメス製品は「マルジェラ期」と呼ばれ、今なお絶大な人気を誇ります。エルメスの十八番である革素材を使いつつも、斬新で鮮烈なファッションをエルメスに取り込んだことで話題となりました。
その後任のジャン=ポール・ゴルチエ氏は、マルジェラ氏にとっての師であり、またエルメスにとっても大きな存在です。
マルジェラ期とエルメスの伝統を仲立ちした作風で話題を呼び、エルメスのアパレル部門の認知度を世界的に高めました。
1988年以降、ずっと女性でありながらメンズのディレクターも務めるヴェロニク・ニシャニアン氏、セリーヌやメゾン マルタン・マルジェラなどで経歴を持つナデージュ・ヴァネ・シビュルスキー氏など、現在活躍しているデザイナーも意欲的に傑作を生み出しています。
3. エルメスを愛用している有名人
エルメスを愛用している有名人はとても多いですが、オーナーに共通していることは風格があること。それは今も昔も変わらず。セレブリティと呼ばれる人々がエレガントにエルメスを持ち歩いているところを見ると、憧れの気持ちが募るものです。
歴史的にはケネディ大統領の元夫人ジャクリーン・ケネディ・オナシス氏。また、前述したモナコ王妃のグレース・ケリーさんやイギリスのエリザベス女王も愛用していると言います。ちなみに日本の皇后雅子様も皇太子妃だったころ、エルメスのスカーフをエレガントに着けこなしている写真がメディアで拝見できました。
現在ではデビット・ベッカムさんの夫人ヴィクトリアさんやジェニファー・ロペスさん、ファッションデザイナーとして高名なアシュレー・オルセンさんなどそうそうたるセレブの愛用者たちが見られます。
4. 買取価格から見るエルメスの人気ラインとは?
最後にエルメスの人気ラインをご紹介いたします。
文中で何度か触れているように、エルメスは知名度やステータス性はもちろん、製品そのものの質がきわめて高いため劣化しづらく、メンテナンスさえ行えば末永く使い続けていける、という特徴があります。
そのため、買取市場での相場はどのモデルも総じて高額で、特に人気のラインはコンディションが多少悪くても他ブランドのものと比べて値付けが高い傾向にあります。
人気ラインをお持ちの方もそうでない方も、まずは査定にお持ちこみください。
■バーキン
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■ケリー
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■ボリード
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■ガーデンパーティー
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■ピコタン
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■ドゥブルサンス
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■エヴリン
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■ドゴン
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※数か月単位で相場の変動がありますので、上記価格でお買取りできない商品もございます。
※同じ形の商品でも素材、カラー、年式等によって買取価格は異なります。
※記事作成時の価格となりますので、現在の相場はこちらをご確認ください。
5. まとめ
エルメスとはどのようなブランドなのか。その歴史やブランド規模、こだわり、歴代デザイナーやエルメスを愛用する有名人をご紹介いたしました。
また、当店グリーバーの人気ライン買取相場を見ていただくと、その価格が他社製品と比べてずば抜けて高いことがおわかりいただけたでしょう。エルメスのこだわり抜かれた一つ一つの製品はいつまでも人々を魅了する何かがあるように思います。
バーキンやケリーなど、使っていないエルメス製品をお持ちの方は、ぜひ一度買取店にお持ち込みください。思わぬ高額査定が付く可能性があります!