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皇帝の宝石とも称されるアレキサンドライトの買取・査定を解説!

宝石の魅力の一つとして、「色」が挙げられるでしょう。サファイヤのブルー、ルビーの深紅、エメラルドのグリーンなど、天然の多様なバリエーションを楽しめるのは嬉しいですね。この色味を、光源によって変える宝石があることをご存知でしょうか。その名はアレキサンドライト。ロシア皇帝から名をちなみ、「皇帝の宝石」「宝石の王」などと言った異名をとってきました。非常に稀少価値が高く、コレクター垂涎の逸品としても有名です。そのためアレキサンドライトを売却した場合、個体にもよりますがその査定額はダイヤモンドをも凌ぐほどです。
この記事では、そんな超レアであるアレキサンドライトについてご紹介いたします。

アレキサンドライト

アレキサンドライトとは?

① DATA

鉱物名:クリソベリル
和名:金緑石(きんりょくせき)
色:変色性があり、太陽光下では緑、白熱灯下では赤紫のような色合いを出す
モース硬度:8.5
劈開:明瞭
原産国:ロシア,ブラジル,スリランカ,タンザニア,マダガスカルなど
宝石言葉:秘めた思い

② 歴史

アレキサンドライトの発見は1830年と、宝石史の中では比較的最近です。鉱物学的にはキャッツアイで知られるクリソベリルに属しますが、キャッツアイは古代から親しまれてきたことを鑑みれば、その新しさは明白ですね。
発見はロシアのウラル地方東部・トコワヤにあるエメラルド鉱山です。太陽光の下では暗緑色、ろうそくの火の下では鮮やかな赤紫に色を変えるという珍しさはすぐに話題となり、時のロシア皇帝ニコライ1世に献上されました。真偽は定かではありませんが、その献上された4月29日が皇太子であり、次期皇帝アレクサンドル二世の誕生日であったためアレキサンドライトという名がついた、という逸話があります。
当時のロシア軍の軍服に赤と緑が使われていたこともあり、冒頭でも述べたように「皇帝の石」と称されるようになりました。

誕生当初から高値で取引されていましたが、後にスリランカ、ブラジルでも産出されるようになると、その産出量の少なさ・困難さから稀少価値が取りざたされることとなり、ますます高値となっていきます。そのため、古代から四大宝石とされてきたダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、エメラルドにこの石を加え、五大宝石としたり、キングオブジュエリーと呼んだりすることもあります。
ちなみにエジプトのアレキサンドリアがアレキサンドライトの関連地と勘違いされることがありますが、エジプトでは産出されません。

現在では6月の誕生石に設定され、ジュエリー、パワーストーンとしてはもちろん、コレクターズアイテムとしても注目を浴びています。

③ 特徴

前述の通り、鉱物学ではアレキサンドライトはクリソベリルの一種です。クリソベリル自体は美しさに突出したものが少なく、あまり宝石としては採用されていません。しかしながら一条の光の帯が石を走っているキャッツアイという個体は古くから宝飾品需要の高いものでした。
アレキサンドライトもキャッツアイ同様、クリソベリルでありながら、持っている特徴によって宝石として愛されています。詳しく見ていきましょう。

■変色性

アレキサンドライトの変色性

最大の特徴は、光源によって変色性を示す、というものです。太陽光下では緑、白熱灯などやロウソクなどの下では赤紫または赤に色を変えていきます。このことから、「昼と夜で顔を変える」なんて妖艶な表現もされることがあります。なお、上質なアレキサンドライトだと、その変わる様が劇的なことに驚かされるかもしれません。
この性質は、含有されているクロムによるものです。クロムとはルビーやエメラルドなどにも含有される金属で、これらの石の赤や緑に影響を与えています。アレキサンドライトは黄色系スペクトルを吸収するクロムを含有し、かつそのクロムが光源によって反射させる色味を変える、という性質に由来するものです。

この変色性が何よりのポイントです。変色を示さなければ、ただのクリソベリル。反面、少しでも変色を起こせば、アレキサンドライトという宝石名となります。
もちろんすぐに変色が確認できるもの。鮮やかな赤から緑へとハッキリ変色するものが高く評価されますが、もともとクリソベリル属の鉱物は発色があまり良くありません。淡い赤から暗緑色に色を変える、という個体が多くなります。そのため、色味よりも、色の変化が評価の重点として扱われてきました。

なお、変色を示す宝石はアレキサンドライトだけではありません。サファイヤやガーネットなども光源によって色味を変える石があります。
しかしながら変色性が注目されたのはアレキサンドライトが発見されてからです。そのため、アレキ・サファイヤやアレキ・ガーネットといったように、変色性のある宝石の名称に「アレキ」を付ける通称も存在します。

■ 稀少性と産地

もう一つの特徴と言えば、何度かお話しているように超稀少なことです。しかも、大きい石が採れづらく、産出されるもののほとんどは1カラット未満だと言われています。
大粒のものだと原石だけで1,000万円超えてしまう、なんて事例もあるようです。

産地によっての個体差が大きいところも特筆すべき点です。
最も美しく、質の良いアレキサンドライトが採れる場所は本家本元のロシアです。インクルージョンが多いながらも変色がハッキリしており、色味の美しさも格別と言われてきました。しかしながら既に枯渇してしまい、ロシアではアレキサンドライトはもうほとんど産出されていません。

現在では、ブラジル産のアレキサンドライトが質の良さに定評があります。
変色性が高く、インクルージョンの少ない個体がよく産出されます。
一方でやはり産出量はきわめて少ないこと。また、赴くのさえ困難な、斜面や起伏の激しい鉱脈から発見され、採掘も手掘りを基本として行われることから、産出コストは非常に高いと言われています。
また、ブラジルも、近い将来アレキサンドライトが枯渇するのではないか、と囁かれています。

スリランカ産のものは大きいものがよく採れ、5カラットを超える個体も発見されています。
しかしながら品質はいま一つ。変色性がないことからクリソベリルとして扱われることもしばしばあるようです。なお、スリランカはクリソベリル(キャッツアイ)の産地として非常に有名で、古来より魔除けとして親しまれてきました。

近年ではタンザニア・マダガスカルも主要産地に上げられています。
3カラットを超える大振りのものが発見されています。

■ シャトヤンシー効果

アレキサンドライトキャッツアイ

ちなみに先ほどからキャッツアイをしばしば持ち出しておりますが、キャッツアイの一条の線のような光が石を走る現象をシャトヤンシー効果と呼びます。これはインクルージョンが線状にみっしりと並ぶことで実現されています。トルマリンやオパールなどにもみられる現象です。角度を変えることでゆらゆらと動き、それでいて鮮烈なまでの光を石に宿すという美しい効果です。猫の目のよう、という意味でキャッツアイと名付けられたのですね。

このシャトヤンシー効果を持つアレキサンドライトも、数は少ないながら発見されています。アレキサンドライト・キャッツアイと呼ばれています。
通常のアレキサンドライトはブリリアントカットやミックスカットなどが用いられていますが、シャトヤンシー効果はファセット面を持つと、上手に発揮できません。そのためシャトヤンシー効果がある個体は丸いカボションカットが採用されることとなります。

■ その他特徴

その他の特徴として、傷つきづらく割れづらいこと。また、日光や温度などから影響を受けづらいため、非常に安定性が高い石としても知られています。
なお、劈開が明瞭な全ての宝石に言えることですが、超音波洗浄は割れに繋がるので使用できません。

ちなみにアレキサンドライトは人工合成に成功しています。その出来栄えも大変美しく、天然ものと遜色ないといった評価がなされています。
しかしながらアレキサンドライトは天然ものにこそ価値があること。また、人工合成は決して容易なものではなく、製造コストが高くついてしまうことから、宝飾用途ではあまり一般的ではありません。
レーザー脱毛や医療用レーザーの触媒などとしては用いられています。

2.アレキサンドライトの買取相場

アレキサンドライトの買取相場を説明することは非常に困難です。なぜかと言うと、個体差が大きい為、明確な市場価格がないのです。また、買取店とひとくちに言っても、ダイヤモンドや貴金属といった明確な査定基準・相場基準のあるものしか買い取っていない、というところや、色石はあまり強くない、ということもあるため、お店によっても買取額は大きく異なるでしょう。
しかしながらアレキサンドライトの稀少性は随一であり、かつ今後鉱脈の枯渇で産出量が減少していくであろうことから、買取相場はますます上がっていくことは想像に難くありません。

目安としては、S~Dクラス程の5段階に分類され、後述する査定ポイントによってランクが決定します。Sクラスに位置づけられるものはハッキリと美しい変色性を持ち、インクルージョンも少ないといった上質の個体となります。お店にもよりますが、Sクラスであれば例え0.2カラットの小粒のものでも、1万円~数万円の値付けがなされることがあります。 また、大きい個体は非常に稀少なため、1.0カラットを超えると買取額が大幅に上昇します。変色性やコンディションなどにもよりますが、1.0カラット以上の質の良いもので10万円~20万円、3カラット超えは100万円超えのお買取価格が相場となるでしょう。

■ 1ctのアレキサンドライトのランクごとのお買取り相場

Sランク 350,000円
Aランク 150,000円
Bランク 50,000円
Cランク 15,000円
Dランク 3,000円

◆おおよその相場となります。内包物の多さ、カット、その他要因により多少前後します。
◆上記価格の前後20%程は時期や情勢で前後する可能性がございます。
◆色味が同様でも、変色性の強弱で買取価格は異なります。
◆山地により相場価格が下がります。

3.アレキサンドライトの査定ポイント

最後に、アレキサンドライトを買取店に査定に出した時、鑑定士がどこを見ているか?査定のポイントをご紹介いたします。

① 変色性

繰り返しになりますが、兎にも角にも変色性です!ハッキリ変わるかどうかが高額査定の大きなポイントです。
もちろん鮮やかな色味の方が価値を持ちますが、変色性が評価を上回ります。 一部のみならず、石全体の色味が変化していくものが上質とされます。

アレキサンドライトの変色性

② カラット数

ほとんどが1カラット未満の中で、1.0カラットを超える個体は大きな査定アップの要素となります。

しかしながらアレキサンドライト自体の稀少性が高いので、0.3ct程の小粒であっても他の宝石に比べて高値がつくことが多いです。

クラリティ

クリソベリルは比較的インクルージョンの多い鉱物です。そのため全く傷や内包物を含まないアレキサンドライトは少ないですが、不純物が無いほど高額となります。これはダイヤモンドと同様ですね。目立ったインクルージョンが無い、というだけでも高額査定となる可能性が高いです。
ただしシャトヤンシー効果のある個体であればインクルージョンが並んでいることが前提となります。

④ カット

カット職人にとって、アレキサンドライトのカットは非常に難易度が高い、と言われています。
原石の状態で、どの角度でのカットが最も変色を美しく見せるかを計算しながら行わなくてはならないためです。カラット数が少ない個体が多い、ということもカット職人泣かせですね。
ブリリアントカットや、クラウンとステップカットから成るミックスカットなどが用いられていますが、このカットの出来栄えによっても査定が変わってくることがあります。しかしながら変色性やカラット数に比べれば影響力は小さいでしょう。

⑤ 鑑別書

鑑別書はダイヤモンドの鑑定書と異なり、石のグレードについては記載されていません。
しかしながら真贋を見極めるためにとても大切な証明書となります。
アレキサンドライトは人工と合成で見分けがつきづらいため、鑑別書の有無で買取の可否を決めるお店も存在するくらいです。また、エンハンスメントやトリートメントといった処理を受けてないか(アレキサンドライトがこういった加工処理をされることはほぼ無く稀ですが)、重量は何カラットかなどが一目でわかるため、今後購入する時にも特に求めておくことをお勧めいたします。
アレキサンドライトの売却を現在お考えで、鑑別書をお持ちでない方は、宝石・ジュエリー買取に知識やノウハウがある、信頼できるお店を何店舗か周るようにしましょう。

4. まとめ

アレキサンドライトの買取についてご紹介いたしました。
アレキサンドライトは変色性を持ち、きわめて稀少価値の高い宝石であること。明確な買取相場はないものの、高値で買取されやすいことをご理解いただけたでしょうか。
文中でも述べたように、アレキサンドライトの真贋や品質評価は熟練の鑑定士でも難しいと言うほどです。そのため、宝石・ジュエリーの知識や経験に長けた買取専門店にお持ち込みいただくことをぜひともお勧めいたします。その際は何店舗か査定に出してみると、ある程度の相場が見えてきますし、「ここだ!」という買取店が見つかるものです。
ちなみに珍しい宝石にも強い、当店グリーバーも、ぜひご活用ください!