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スフェーン(チタナイト)の歴史、特徴、買取相場を徹底解説!

「成功へと導く」「才能を開花させる」そんなパワーを持つ宝石と語られるのが、スフェーン(チタナイト)です。

華々しい宝石言葉に釣り合うような美しさを持つこともポイント。その美しさの根源はダイヤモンドを思わせるきらめきや輝き、光沢にあります。個体によっては、ダイヤモンドよりもギラギラと輝くものも存在します。

そんなスフェーンは、近年パワーストーンとして、そしてジュエリーとしても注目度を集めるようになってきました。

しかしながらジュエリー用途の水準に達したグレードの個体は非常に少なく、そのため上質なスフェーンが使われた製品の買取相場はとてもお高くなります。

今スフェーンをお持ちの方は、思っていた以上の査定額が付くかもしれません。

この記事では、スフェーンの歴史や特徴、買取相場を徹底解説いたします!

スフェーン

1. スフェーンとは?

① DATA

鉱物名:チタナイト
和名:くさび石、チタン石
色:黄緑、緑、赤、茶色など。多色性を示す
モース硬度:5-5.5
劈開:明瞭
原産国:ブラジル、マダガスカル、パキスタン、スリランカ、ロシア、ヨーロッパの一部地域など
宝石言葉:純粋、永久、成功、幸運、才能の開花

② 歴史

スフェーンはギリシャ語で「くさび」を意味するSphenos(スフェノス)に名前をちなみます。結晶がくさび形をしていることから、スフェーンの名前が定着したようです。

鉱物名としてはチタナイトと呼ばれます。1982年、国際鉱物学連合のCNMMN(新鉱物・鉱物名委員会)によって命名されました。和名ではくさび石、チタン石と呼ぶこともありますが、宝石として用いられる当鉱物はスフェーンで知られています。

名前の通り、チタンを含むケイ酸塩鉱物となります。同じケイ酸塩鉱物としては、石英や水晶などがありますね。その組成の過程でチタンを含むこととなりました。

その他クロムやマンガン、鉄、イットリウムなどの不純物が多く含有されています。

ジュエリーとして注目されるようになった時期ははっきりとはわかっていません。しかしながらここ数年、ジュエリー愛好家を中心にジワジワ人気を上げてきている宝石です。

また、パワーストーンとしての効能が取沙汰されており、「成功」「幸運」「才能の開花」などと言った宝石言葉を持つと伝えられてきました。

冒頭でも述べたように、ジュエリーとして使用できる水準の個体が産出することは非常に稀です。

そのためブラジルやマダガスカル、パキスタンなどと産地は比較的多いのですが「ジュエリー」としては稀少価値が高く、ハイグレードのものとなればなおさら高値で取引されます。

ジュエリー以外の用途としては、釉薬(ゆうやく、うわぐすり)などの塗料や顔料として利用されています。また、フィッショントラック法と呼ばれる、放射年代測定(岩石や化石の年代を測定すること)のサンプルとしても使われてきました。

スフェーン

③ 特徴

スフェーンの特徴を解説いたします。

■まばゆい輝き
スフェーンの特徴は、何と言ってもきらめき、輝きにあると言えるでしょう。この輝きは、ダイヤモンドに例えられることもしばしばです。

事実、ダイヤモンドの特性を多く有します。
まずファイア。これは、スペクトル色(虹色)の光の分散を指し、ディスパーションとも呼ばれます。ファイアによって「ギラギラ」と言っていいような美しいきらめきを実現しているのですが、ダイヤモンド以外の鉱物にはあまり見られません。そのため特別にアダマンティン(ダイヤモンドのような)光沢などと称されることもありますが、スフェーンは個体によってはファイアがダイヤモンドを凌ぎ、ダイヤモンドよりも激しく独特のきらめき・輝きを放つことがあるのです。

この美しさは太陽光に当てるとより顕著で、赤や緑、白といった虹色光線をこれでもかと放ち、私たちの視覚に飛び込んできます。一報で紫外線や蛍光灯下では、激しいファイアを見せません。

また、複屈折(ふくくっせつ)と言う性質を持っていることも特筆しなくてはいけないでしょう。

ファイアは石内部に入った光が屈折を繰り返すことで、あらゆる色味の分散光として放つことができるのです。複屈折を持つスフェーンも内部で光が入射すると屈折するのですが、その光線が二つに分かれるという現象を起こします。水晶や硫黄、大理石として知られる方解石も複屈折を持つ代表的な鉱物です。

複屈折を持った鉱物で景色を透かしてみると二重にかすんでいるように見え、単なる輝きだけではなく、やわらかく優美な印象が強まります。

■多色性、および色味
さらに、強い多色性もスフェーンを語るうえでは欠かせません。

多色性とは物質を見る角度を変えると、異なる表情を見せてくれる特性のこと。例えばある方向からスフェーンを見ると明るい黄緑色、向きを変えると赤茶系色、もう一方から見ると強く輝く黄系色、などと言った具合です。

なお、多色性を持つとは言え、ベースになる色はあります。
含有する成分によって色味を変えるのですが、多くのスフェーンの個体は緑か黄緑色が多いでしょう。

黄緑色のスフェーンは「マスカットグリーン」「ライムグリーン」などと称されることもあり、見ているこちらを爽やかで明るい気分にしてくれる美しさが魅力です。

また、濃い緑を持った個体も存在します。これはスフェーンの生成過程でクロムが多く含有されたことによるもので、チタン以外の不純物がインクルージョンとなることでファイアこそ弱まりますが、吸い込まれるような深みのあるグリーンは大変人気。前述した明るい緑の個体と特に区別して、「クロムスフェーン」と呼ばれることもあります。

その他、ゴールドに近いもの、赤色のファイアが強いものなど個体によって様々なカラーを楽しむことができます。

含有する成分によって色味を変える、と申し上げました。そのため地質による影響が強いのか、産地によって色の差が大きくなります。

ちなみにメキシコのバハ・カリフォルニアで採れるクロムスフェーンの美しさは最高峰だとか。

また、ロシアでは赤色の強いファイアを持つスフェーンが産出されており、「ロシアンスフェーン」の名で高い評価がなされています。

■硬度・劈開
このように、まるでダイヤモンドのような美しさを楽しめるスフェーンですが、カット・研磨によってさらにダイヤモンドと近い、あるいは遜色のない輝きを放ちます。

しかしながら硬度が低いと言う欠点があります。そのためカットや研磨に高い技術が必要で、ベテランのカット職人でも難しいとされています。

そのためカラット数もあり、上質なスフェーンが産出されても、カットをせずそのままコレクションする、と言った愛好家もいらっしゃいます。

とは言えもちろんこの難易度の高いカッティングに挑んで、見事美しいジュエリーに昇華しているメーカーも少なくありません。スフェーンはダイヤモンドのような特性上、ブリリアントカットが最も美しさを引き出すと言われており、貴金属や他の宝石との親和性も高く、人気の理由は一目瞭然ですね。

とは言え取り扱いには細心の注意が必要です。硬度が低いうえに劈開が明瞭なため、割れやすいこともまさに玉に瑕。超音波洗浄は厳禁です。

また、直射日光によって変色する個体もあるため、保管にも注意しましょう。

■インクルージョン・カラット
スフェーンは基本的に内包物の少ない宝石ですが、クラックと呼ばれるひび割れ・カケが多いという欠点があります。こういった個体は当然価値が下がってしまいます。

また、カラットに関しては比較的大きなものが産出される為、1カラットや3カラット程でも大粒とは言えません。ただし、高品質で10ctオーバーともなれば高値で取引されます。

2. スフェーンの買取相場

スフェーンは決して産出量が低い宝石ではありません。しかしながら、ダイヤモンドのようなきらめき・輝き、見事なカット・研磨、優れたクラリティといった個体は非常に少なく、数万円の買取相場が付くこともあります。

事実、パワーストーンとして用いられるものはジュエリー用途ほどの透明度はなく、輝きも弱くなります。とは言えパワーストーンの中では高価格帯。人気がさらに相場を押し上げていると言っていいでしょう。

ただし、スフェーンのような稀少ジュエリーは、買取相場を一概に出すことができません。個体を見てみないとわからないことが多く、後述する査定ポイントを総合的に判断したうえで買取額が決定するためです。

では、プロの鑑定士は、買取の際にスフェーンのどこを評価しているのでしょうか。次項でご紹介いたします。

スフェーン

3. スフェーンの査定ポイント

買取店の熟練鑑定士がスフェーンを査定する際、チェックしているポイントをまとめてご紹介いたします!

これからスフェーンのルース、あるいはジュエリーのご売却をお考えの方は、参考にしてみてくださいね。

ポイント①インクルージョンの程度

鉱物である以上、多少のインクルージョンは仕方がないことかもしれませんが、やはりスフェーンの持ち味であるファイアを妨げるようなものがマイナス査定になってしまいます。

裏を返せば、優れたクラリティ・透明度で強いファイアを誇るものは、高額査定の大きな要素となる、ということです。

一方で使用時に付いてしまった傷やエッジの欠けは、大幅な減額対象となることがあります。

ポイント②カラー

インクルージョンの程度、すなわちファイアの程度が査定では大きく影響しますが、人気のカラーによってはプラス査定となります。

一般的には鮮やかな黄緑色のスフェーンが人気で高額買取されやすいですが、クロムスフェーンやロシアンスフェーンと言った希少種もまたプレミアムが付き、プラス査定のポイントとなります。また、ベースのカラーも大事ですが、光を当てた時に見られるファイアの色の種類や強さ、美しさも大きなポイントの一つです。虹色の美しいファイアを放つスフェーンは高額となります。

ポイント③カラット

実は上質でカラット数も十分、という個体はスフェーンには多くありません。

インドやマダガスカルでは大振りのものが採掘されていますが、ジュエリー水準に満たなかったり、インクルージョンが多くなってしまったりといったケースが目立ちます。

そのため高品質で5カラットを超えるスフェーンは相当稀。カラット数が上がるほど、買取相場も高くなるという特徴がありますが、ダイヤモンドのように倍々に高くなるものでは無く、10ct前後の1ct辺りの評価査定額が頭打ちとなる事が多いです。

ポイント④鑑別書の有無

スフェーンのみならず、全ての色石に言えることですが、真贋の見極めというのはプロの鑑定士であっても難しいです。ダイヤモンドや貴金属と違って明確な基準がないうえに、個体によって差が出やすいためです。

そのため、スフェーンを購入した際に付いてきた鑑別書があれば、必ず買取店に一緒に持ち込みましょう。

鑑別書はダイヤモンドの鑑定書と異なりグレードなどは記載されませんが、その宝石がどのような鉱物由来で、天然であるか・人工であるかを明記したものとなります。

もし持っていない場合は、ジュエリーの知識・取り扱い経験が豊富な買取店に査定を依頼しましょう。

なお、スフェーンはエンハンスメントの一環として加熱処理が施されている場合がありますが、評価に大きくは影響しません。

ポイント⑤一緒に使われている貴金属や宝石、ブランド価値

スフェーンの美しさを引き立てる地金やメレなどの宝石も、買取価格に大きく関わってきます。

特にダイヤモンドや貴金属は安定性を有しており、経年による劣化が少なくなります。スフェーン自体が著しい欠けなどがあって再販できない場合であっても、こういったその他の要素が評価され、買取価格に反映されます。

また、再販できるコンディションで、かつ人気ブランドの製品、あるいは人気デザイナーが手掛けたと言った場合は、その分のプレミア価格が付きます。

なお、「スフェーンの価値がわからないからダイヤモンドと貴金属だけ買い取る」「ブランド価値を知らない」「スフェーンの買取を拒否する」などと言ったお店も存在します。信頼できる買取店選びが何よりも大切です。

スフェーン

4. まとめ

パワーストーンとして、そしてダイヤモンドのような輝きを誇るジュエリーとしても、注目度を高めているスフェーンについて解説いたしました。

スフェーンは激しいファイアを持ち、ギラギラとした強いきらめき・輝きを放ちます。また、多色性や複屈折といった独創的な特性を持つこともあり、特別感の強い宝石。今後ますます需要が高まるかもしれません。

とは言えスフェーンのような稀少石は評価が難しいという現状があります。ご売却をお考えの方は、色石の買取実績があり、ブランド価値などにもノウハウがある信頼できる買取店を選ぶようにしてくださいね。